BenQ「PV270」レビュー!カラーマネジメントディスプレイを使うと写真がうまくなる?

カラーマネジメントディスプレイと言えば、これまではプロだけが使うような代物でした。一般の人が購入するには割高だったり「そもそも本当に必要なの?」といったような敷居の高い製品であったことは間違いないと思います。しかしデジタル一眼レフなどのおかげで写真が身近になり、より高いレベルを目指す人からの需要は高まりつつあります。
最近では比較的手頃な製品も増えてきているので、気になっている人も多いのではないでしょうか?僕自身なんとなく使っているという感覚でしたが、今回はBenQ様より「PV270」をお借りすることができましたので、改めて重要性を振り返ると共に、しばらく使ってみた感想を書きたいと思います。
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目次
BenQ「PV270」レビュー!
写真が好きな人にとって「もっとうまくなりたい」「良い写真を残したい」というのは切実な願いでしょう。そのために多くの人はカメラやレンズを買い換えるのですが、足りていないのは実は液晶ディスプレイかもしれません。色がもつ本来の美しさや、パワー?みたいな物はいわゆる普通のディスプレイではなかなか再現できていないからです。
生データとも言われるRAWデータは、非常にたくさんの情報を含んでいます。自分の思う通りにパソコンで編集して写真を作り上げていくのですが、見ている色がそもそも再現されていなければ・・・あまり意味はありませんよね。その影響はプリントにまで及ぶので、良いモニターを選ぶことはとても大切なのです。
そこでPV270のような色域の広いディスプレイを使うことで、より正確で忠実なアウトプットが可能になるという訳です。BenQの製品には他にも「SW271」「SW240」といった人気商品が存在します。
PV270の特徴・スペック
アスペクト比 | 16:9 |
パネル/バックライト | IPS / LED |
解像度 | 2560 x 1440 (WQHD) |
画素ピッチ(mm) | 0.233 mm |
視野角 (左右/上下) (CR>=10) | 178/178 |
表示色 | 約10億7000万色 |
輝度 | 350cd/㎡ (Uniformity off) |
応答速度 | 12ms (GTG 5ms) |
コントラスト比 | 1000:1 |
入出力端子 | DVI-DL x1 / HDMI 1.4 x1 / Display Port 1.2 x1 / mini DP1.2 x1 SDカードスロット x1 |
USB | USB3.0 x 3(Downstream x 2、Upstream x 1) |
重量 | 7.8kg |
- 27インチ WQHD(2560 x 1440)の解像度
- 平均ΔE≦1.5、Rec.709 100%、DCI-P 396%、Adobe RGB 99% カバーする広色域
- ハードウェアキャリブレーション対応、キャリブレーションソフトウェアPalette Masterも無料提供
- ムラ補正回路搭載により均一なユニフォーミティ
- バックライトセンサー搭載により安定までわずか5分
- 映画編集に最適なリアル24Pプレイバックをサポート
ざっと特徴をあげるとこのような感じです。それでは製品の特徴についてもう少し詳しく見ていきましょう。
27インチ WQHD(2560 x 1440)の解像度で迫力がある写真が楽しめる
27インチの大画面ですから、目一杯写真を広げてやれば迫力のある映像を楽しむことができます。しかも、2560 x 1440の高解像度ですから映し出される画像はきわめて鮮明です。
ブラウザやソフトをいくつもオープンにすると、あっという間にウインドウはいっぱいになってしまいますがPV270には余裕があります。大きな写真を観ながら編集メニューを出せるので、じっくり写真を確認しながら細部をつめれます。これまで見逃していたポイントを洗い出せるという点では、写真の質を一歩向上させるのに非常に役立ちます。
僕はMacBook Proをつないで2画面で作業することが多いので、片側で編集作業をしつつ、調べものやブログ執筆といったことをしています。こうすることで作業の大幅な効率化を図ることができます。
4Kの解像度が欲しい人は、SW271という製品も販売されています。そちらについては別途レビューを書いていますので参考にしてください。
Adobe RGB 99%!色再現が素晴らしい
Adobe RGB 99% カバーする広色域のおかげで、プロフェッショナルな現場で求められるような色再現もほとんどカバー可能です。
もう少し噛み砕いた言葉で言うと「パッと見で写真がきれいに見える」ディスプレイだということです。実際にこのディスプレイで写真を見ていると、細部まではっきりと表現されているのがわかり、色のグラデーションも非常に美しく感じます。
僕の作風だとプラス補正をよくかけるので失ってしまったように見える色も多いのですが、PV270はしっかりと世界観を表現してくれました(嬉)PV270の表現力は感動を覚えるレベルなので、まるで「写真の腕が上がった」ように錯覚させてくれます。
きれいだと言われるMacのRetinaディスプレイでさえ、PV270と並べて使うとやや色味が薄く感じます。
わかりやすいように電気を消して撮影しましたが、それでもまだわかりにくいかもしれませんね(笑)実際に並べてみると明らかにPV270のほうが色味が濃く、グラデーションもきれいです。それだけ普通のディスプレイだと写真の可能性を見切れていないということです。
ハードウェアキャリブレーションに対応
映像編集作業では、より細かい設定が可能なハードウェアキャリブレーションが求められます。ディスプレイ内部の画像処理チップを直接調整することで、画像とオリジナルとの一貫性を保つことができます。キャリブレーションの設定は本体に2つまで保存が可能なので、用途に合わせて切り替えてつかうこともできます。
BenQのホームページで、キャリブレーションソフトウェア「Palette Master」が無料で提供されています。他にもカタログやユーザーマニュアルがダウンロード可能なので、必要に応じて手に入れましょう。
映像編集にも最適!1080/24P プレイバックに対応
映像の世界では24fpsというのは、割とスタンダードな数字です。しかし通常のモニターでは、60Hzというリフレッシュレートになっているため、どうしても誤差が生じます。その誤差が映像の歪みを生み、なんとなく違和感を感じることがあります。
そこでPV270では出力信号を24HzにPC側で変更することにより、自動的に最適なリフレッシュレート(48Hz/72Hz)に変換してくれます。映画や動画作成に向いているディスプレイであり、BenQの公式HPにも「映像編集向けカラーマネジメントディスプレイ」と紹介されている理由でしょう。
ムラ補正により、まるで絵画でも観ているかのよう
ほとんどのディスプレイは、中央が明るく、外側に向かうにつれて輝度が落ちるのが一般的です。そのため一部の高級なディスプレイには「ユニフォーミティ補正回路」というものが搭載されています。もちろんこのPV270にも搭載されているので、画面全体の輝度を微調整しながら「より均一に、より本物に近い」表現が可能になっています。
PV270を使っていると、驚くほどチラつきやムラといったものを感じません。画面全体が波1つない静かな湖畔のようで、まるで絵画でも鑑賞しているかのようなリアルな感覚に浸ることができます。
ちなみにPV270にはエコセンサーが搭載されていて、人が離席すると自動的にディスプレイをオフにしてくれます。僕が普段使っているモニターにも人感センサーは搭載されていて、部屋の明るさを感知して自動で液晶に合わせてくれる機能もあるんですね。しかしこれがあまり賢くなくて、必要以上に暗くしてくれるのがストレスでした・・・PV270にはそうした変なストレスは感じませんでした(だから欲しい)
画面もノングレアで目の負担も小さいですし、高級なIPSパネルという点も見逃せません。
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PV270の外観



PV270で個人的に気に入ったのが、物理ボタンではなく、タッチパネル式の電源ボタンです。右下にそっと触るだけで電源がオンになるので、夜間に使うのに重宝しました。逆に設定するときには、ややゆっくりした動作に待たされている感じもしました。頻繁に設定はしないものの、タッチで動作してくれないこともあり操作性はもう少し改善を期待したいところでしょうか。高い物ですからね・・・
ベゼルも最近の製品にしては珍しく?それほど狭小ではありません。ディスプレイを複数つなげたい人には向いていないかもしれませんね。(2〜2.5cmほどの枠です)
後は「BenQ」のロゴが左下に控えめにあるのもよかったところでしょうか。最近どの商品もセンターにあるので主張が強いんですよね(汗)
可動域が広いので自由な視聴が可能
PV270は「高さ」「回転」「傾き」に対応しているので、配置に自由度があります。とくに傾きに対応しているのがありがたく、窓から差し込む光が微妙に影響した時や、姿勢を変えたい時に助かりました。
良かったポイント
- 色の濃淡・グラデーションが素晴らしい
- 画面のチラつきやムラがない
- 解像度が高くて作業が捗る
- 動画作成に向いている
- 5分で安定する
- 主張しないデザイン
- 写真がうまくなった気がする!
いまいちだったポイント
- 27インチは大きい
- 4Kに未対応
- ベゼルが太い
- 10万円と割と高額
これは僕の個人的な好みによるところが多いのですが、27インチはどうしても大きいと感じてしまいます。デスクに置くと圧迫感を感じるので、僕は遮光フードを着けずに使っていました。27インチは人気のあるサイズなので気にならない人もいるでしょうが、僕はもともと27→24にサイズダウンした人なので・・・
▼僕のように24インチが好みならSW240がおすすめ!
4Kに対応していないのと、割と太い枠があるので複数繋げて使うつもりだったら注意が必要という点ですね。ちなみに初期のパッケージにはHDMIが付属しません。シリアルナンバーや購入証明をBenQのサポートに連絡すれば送ってもらえるそうです。
本格的な写真編集や動画作成の環境構築におすすめ!
- 動画編集を頻繁にする人
- 写真編集にこだわりたい人
- 一歩上のステージに進みたい人
- 本当の色に触れたい人
- コスパの良いディスプレイが欲しい人
PV270をしばらく使ってみて「27インチの大型ディスプレイであること」「解像度が高いこと」「色域が広いこと」など、あらゆる点で余裕を感じることが多かったです。このディスプレイを使っていて一番幸せなのは「自分の撮影した写真が期待以上の色で表現されていること」です。特にこれまでディスプレイにこだわってこなかった人は感動をおぼえるかと思います。
写真は好きだけどこれまで色こだわってこなかった人、自宅で本格的にプリントしたい人、腰をすえて動画作成をしたい人なんかに使ってもらいたい製品です。
Adobe RGB 99%対応の、ハードキャリブレーション可能なディスプレイが欲しいならPV270は良い選択になるでしょう。
もし他のディスプレイが気になるということなら「BenQのカラーマネジメントディスプレイ全比較」という記事も書いているので参考にしてください
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